その異変に、最初は誰も気付かなかった。 付近に居た者は、ただの気象変化だとか 気のせいだろうと、気にも留めなかった。 遠くで、異変を偶然にも目撃できた者も 人型の雲がある、という認識でしかなく、 そこにある危機を微塵も感じてなかった。 雲と霧の境目はどこにあるのだろうか? 最初に疑問を投げかけたのは誰だったか。 「形を持った雲が、地に足を下ろした」 言葉にすれば、これだけの事でしかない。 それでも、その言葉の持つ意味は重大だ。 地に足跡を付ける雲など誰が想像したか。 気象庁の発表に依ると、あの雲の巨人は いまだ質量を増加させ続けているらしい。
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